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2007年6月12日 (火)

6月号 いろは歌の写経歓進

語り手:薬師寺副住職  山田法胤さん

――平成2年からは薬師寺末寺の喜光寺の住職も務められてますね。

山田 住職が亡くなり、就任することになりました。行基ゆかりの寺で、復興整備すればいい寺になると言われ、行くことになりました。本尊の阿弥陀如来に自分が住職をしてもいいか問うと、「おまえでもいい」とニコッと微笑まれたように感じましたね。

――どういうふうに復興を計画されたのですか。

山田 南大門を復興することになり、薬師寺と同様に写経歓進の方法をとることにしました。ただ、薬師寺が般若心経の写経を行っているので、他のお経の写経をすることにしたのです。今の人は字を書くことが少なくなっているので、何かいいものはないかと探していた時、お経のかえ歌の「いろは歌」について聞いたことがあり、これだと思いました。いろは歌は釈尊が亡くなる直前に説いた「涅槃経」をもとにしています。その中に「諸行無常」などがあり、それが日本では「いろはにほへとちりぬるを」(色は匂えど散りぬるを)といういろは歌になっているのです。

――「いろは…」がお経のかえ歌だとは知りませんでした。

山田 諸行無常は世の中のすべてのものは移り変わっていくということで、それに続く「是生滅法」(我が世誰ぞ常ならむ)はすべての物質は生じたり滅したりを繰り返し、永遠の命は存在しないという意味です。例えば地位などにとらわれるとねたんだり恨んだりするものです。そんなものに執着する心を捨てることを「生滅滅已」(有為の奥山今日越えて)とし、そうすると静かな心で楽しく生きることができることを「寂滅為楽」(浅き夢見し酔ひもせず)と説いています。こうしたいろは歌は生活に密着したいいお経だと思うのです。

――なるほど、そんな意味があったのですね。

山田 いろは歌は日本語の字母をすべて含んでいるうえ、深い意味があるのです。こうしたいろは歌は青少年の育成のためにもよく、学校で教えるべきだと思うのですが。

――いろは歌の写経歓進はうまくいっているのですか。

山田 写経歓進は平成4年から始めました。門は22年の完成を目指しており、なんとか実現しそうな感じです。喜光寺は奈良の西の玄関口に当たり、門が完成すれば雰囲気もさらによくなると思います。来年春には起工式を行う予定です。

(聞き手 岩口利一)

やまだ・ほういん
昭和15年生まれ。31年、薬師寺に入山し、39年、龍谷大文学部仏教学科を卒業。平成10年、執事長、15年から副住職。喜光寺住職。著書に「薬師寺」「仏陀の風景」など。

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