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2007年4月 1日 (日)

No.85 古都の眺めを守る 『眺望景観創生条例』

記:中日新聞/飯尾歩、中日新聞 古知野専売所 (有)吉田新聞舗

桜の開花予想が二転三転しています。静岡市で三月十三日という記録的な開花予想は、計算水だと判明し、修正されました。

しかし、これも笑い話では済まされません。第一に、三月十三日に桜が咲いても、さほど不思議とは思えぬほどに、この冬の暖冬異変は、それこそ記録的でした。もう一つ、気象庁が計算ミスをしてしまうこと自体、異変と言ってもいいでしょう。「気象」は、繰り始めています。それだけでなく、その振幅は年々大きくなっているようです。

前回も書いたことですが、何回書いても書き足らない気持ちです。自らの未来を守るため、それぞれにできることから、温暖化対策を始めましょうと。

さて、今回は、少しごみから、少なくとも表面上は離れます。

京都市は、日本を代表する古都の景観を守るため、新たな景観条例を成立させ、九月一日から都市部としては厳しい規制を始めます。

規制されるのは、まず建物の高さです。従来の最高45メートル(十五階建て相当)から、31メートル(十階建て相当)まで引き下げます。

古都を代表する眺めを守る「眺望景観創生条例」は、「清水寺から見下ろした町並み」「賀茂川から見上げた大文字の送り火」というように、極めて具体的、かつ詳細に、古都を代表する風景を守るよう、建物の高さや色、デザインを規制します。

そして、屋上看板や点滅電飾は市内全域で禁止します。

反対もありました。マンションの建て替え時のことを心配したり、所有する不動産の資産価値が目減りするのを恐れたり。しかし、事前のある調査では、8割を超える市民が、原則賛成しています。京の町衆、面目躍如といったところでしょうか。

さて、結論から言えば、規制によって、京都の資産価値は上がるでしょう。少なくとも、市街地の町屋を無味乾燥なマンションが浸食することによる、京都が京都でなくなることによる、価値の低下に歯止めがかかるでしょう。

京都に限らず、町が町、街が街として成り立つためには、ある程度の統一感が不可欠です。

日本人は、自然に同化し、その美しさを愛でる割には、景観概念に欠けるところがあるようです。

家の中は小ぎれいに統一していても、外観は周囲との配慮を欠いた突飛なものになることも、しばしばです。家、あるいは建物は丸ごと全部、自分のものだという、不動産への強い執着と所有者意識のたまものです。

一方、日本人旅行者は、欧州の街並みの落ち着いた統一感を好みます。統一感が保たれるのは、欧州では少なくともわが国よりは、内側は自分のものだが、外観は公共の所有に帰すという建物に関する「公」の概念が、発達しているからなのです。

ごみについても、同じです。家の中はきれいにしても、外へはき出すことはお構いなしという「公」の欠如が、大量廃棄社会を下支えしています。

さて、京都は京都であるゆえに、厳しい規制を敷きました。しかし、本来は住民自身が、町並みの「公」的価値に自ら気づき、「公」を踏まえたデザインを「官」によらずに手がけていくのがベストです。それが「自治」というものです。

例えば、これもレジ袋のようなもの。法律で有料化されるより、自ら進んで辞退するのが「自治」なのです。

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