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2006年10月 9日 (月)

10月号 故郷の僧に勧められ入山

奈良・薬師寺は、創建当時をうかがわせる東塔と、昭和に復興された西塔が並ぶ、古さと新しさが共存する寺だ。副住職の山田法胤さん(65)はこの寺に入り今年で50年。伽藍が次々と復興されていく寺でユーモアと含蓄にあふれた法話を続けている。入山当時のことや薬師寺、仏教のことなどについて聞いた。

語り手:薬師寺副住職  山田法胤さん

――出身は岐阜県根尾村(現・本巣市)と聞いています。子供のころは自然の中で遊んだのでしょうね。

山田 夏休みなんかは、毎日揖斐川の上流でカッパのように遊んでましたよ。アユやウナギを捕ってね。私はガキ大将で、友達も多かった。今の子供と違って遠出なんてありませんが、一度だけトラックに乗って岐阜の長良川に花火を見に行ったのを覚えています。

――そんな根尾から薬師寺に贈られたものがある。

山田 写経道場の前にある根尾の宝・薄墨桜です。現在の金堂が落慶した昭和51年に苗をもらい、植えました。今年でちょうど30年。ずいぶんと大きく立派になりました。

――岐阜県の山里から薬師寺に入られたきっかけは何だったのですか。

山田 中学卒業後は集団就職か高校受験でしたが、勉強はあまり好きでなく就職を希望していました。7人兄弟の6番目で、父親が早くに亡くなり、母親も好きにしたらいいと思っていたようです。家によく来るお坊さんが「7人もいるなら1人は坊さんにしてもいいのでは。ご先祖さんも喜びますよ」と母親に勧め、薬師寺と縁を結んでくれたのです。

――それで卒業して薬師寺に。

山田 いえ、卒業する年の1月7日に入山しました。転校して薬師寺から三笠中学校(奈良市)に3ヶ月ほど通わせてもらい、卒業です。母親は善は急げという思いで、正月明けの入山になったのですが、子供にすれば善でも何でもない、迷惑な話でしたね。 

(聞き手 岩口利一)

やまだ・ほういん
昭和15年生まれ。31年、薬師寺に入山し、39年、龍谷大文学部仏教学科を卒業。平成10年、執事長、15年から副住職。喜光寺住職。著書に「薬師寺」「仏陀の風景」など。

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